「技能実習と育成就労、何が違うの?」 「特定技能の『特定』って、なに?」 「うちは特定の対象の業種なの?」
こうした疑問や戸惑いの声がおおいようです。「調べれば調べるほど、何が何だか分からない」と悩まれている経営者の方は非常に多いと耳にします。
ですが、どうかご安心ください。そうしたややこしい用語や制度の仕組みは、我々のような専門家に任せてしまって良いのです。
社長が向き合うべきなのは、もっと本質的な 「外国人を雇うという覚悟」 だけ。
そしてその覚悟は、正しい道筋とパートナーさえいれば、 「これなら御社でも十分に実現できる」 と、前向きに感じていただけるはずです。
3分でわかる!外国人雇用の全体像
結論から申し上げますと、多忙な社長がこれらの言葉を完璧に覚える必要は全くございません。 似たようなカタカナやアルファベットの山に頭を悩ませる必要はございません。そのような複雑な整理こそ、私たち専門家の役割だからです。
まずは、大体のイメージだけは掴んでおきたいという社長のために、超シンプルに整理した表を作りました。ここだけサッと目を通してみてください。
| 制度名 | どんな人が来る?(目的と実態) | サポートしてくれる人 | 監督している機関 |
|---|---|---|---|
| 技能実習 | 素人が来ます。 仕事を覚えて国に持って帰るのが建前。 | 監理団体 | 外国人技能実習機構(OTIT) |
| 育成就労 | 素人が来ます。 従来の批判を避けるため2027年4月に導入。仕事を覚えて特定技能へ移行することが目的。 | 監理支援機関 | 外国人育成就労機構(ESDO) |
| 特定技能1号 | 一定のスキルを持った即戦力。 人手不足の特定業界で働く。最長5年(その間に試験に受からないと帰国)。 | 登録支援機関 (または自社で支援) | 出入国在留管理庁 |
| 特定技能2号 | 超難関試験に合格したプロ。 更新回数の上限なし(長期定住への道)。 | 不要(自立しているため) | 出入国在留管理庁 |
| 技人国 (技術・人文知識・国際業務) | 日本の大学などを卒業した人。 ホワイトカラー(オフィスワーク)限定。現場仕事(現業)は絶対にNG。 | 不要(直接雇用のため) | 出入国在留管理庁 |
まずはこれくらいのイメージを持っていただくことができれば、全体像としては十分だと思います。
あえて少し、小難しいお話をします
ここから先は、私たちが実務で扱う「裏側のややこしい建付け」です。読みづらければ、読み飛ばしても後の章を読んでいただけます。
従来の 「技能実習」 には、実習計画を認定する国の認可法人 「外国人技能実習機構(OTIT)」 があり、サポート役の 「監理団体」 が企業を指導します。 これが新制度の 「育成就労」 になると、OTITは 「外国人育成就労機構(ESDO)」 へと変わり、監理団体は外部監査人の独立性要件などが厳格化された 「監理支援機関」 にアップデートされます。本人の希望による転籍(職場変更)のサポートも、この新設されるESDOが担当します。
さらに 「特定技能」 は入管法に基づく在留資格で、企業が義務として行うべき「1号特定技能外国人支援計画(事前ガイダンスなど10項目)」を自社でやるか、法務省告示に適合した 「登録支援機関」 に委託するかを選択します。
最後に 「技人国(技術・人文知識・国際業務)」 ですが、これは「日本の大学や専門学校(または海外の大学)を卒業した人」が対象の、いわゆるホワイトカラー専門の在留資格です。 ここで社長に最も注意していただきたいのは、「技人国ビザの外国人に、現場のブルーカラー業務(工場、建築現場、店舗の接客など)をやらせることは絶対に避けるべき」だという点です。これは「不法就労」となり、会社側も重いペナルティを受けることになります。
……これだけの専門用語やアルファベットが並ぶと、それだけで頭が痛くなってしまいますよね。 ですが、社長、それで当然なのです。こうした複雑な手続きの交通整理や法改正のキャッチアップこそ、社会保険労務士や行政書士の仕事です。
社長が本当に大切にするべきなのは、こうした言葉の暗記ではなく、「結局、自社にとって一番ほしい人材はどれなのか?」という本質だけです。
優秀な外国人に残ってもらうための「2つの重い覚悟」
人手不足の今、育成就労(育成)から 「特定技能1号」 (即戦力)、そしてその先にある 「特定技能2号」 (家族帯同可・更新回数の上限なし)へとステップアップしてもらい、長く社内で活躍してもらうルートは人材育成の観点から魅力的かもしれません。
しかし、このキャリアプランを実現するためには、社長に 「2つの重い覚悟」 が求められます。
1. (業界によっては)超難関の試験を5年以内に突破させる覚悟
特定技能1号として働ける期間は 「最大で5年間」 です。つまり、この5年の間に試験に合格して特定技能2号にならないと、本人は帰国しなければなりません。 しかし、この特定技能2号になるための試験は、業界によっては合格率が非常に低く、決して容易ではない試験です。 本人の自主性だけに任せていては、まず受かりません。会社がOJTなどで、業務時間中に計画的・全面的に勉強をサポートする覚悟が必要です。
2. 日本人平均以上の「給与」を支払う覚悟
最近の法改正で、永住許可の要件は厳しくなっています。 特に、永住許可においては「安定した生計を維持できる収入水準」が重視されており、社会保険料や税金を適正に納付できる給与水準を確保することが、これまで以上に重要になっています。(※具体的な基準は審査の総合判断であり、制度の動向を踏まえた著者の見解です)
ここで、社長にぜひ考えていただきたいのです。 「この難関試験をサポートし、日本人平均以上の給与を支払うこと。それらは御社で本当に実現可能なプランでしょうか?」
世界と日本における「工事現場の賃金(月給)」比較
世界と日本の賃金格差は、私たちが想像している以上に広がっています。 以下は、オフィシャルな統計データをベースに、建設・工事現場の一般作業員における月給目安を比較した簡易的なグラフです。
- オーストラリア:約 65万円 [████████████████████]
- アメリカ(主要都市):約 58万円 [██████████████████]
- シンガポール:約 38万円 [████████████]
- 日本(東京):約 28万円 [████████]
(※為替変動や物価水準による購買力の違いはありますが、国際比較における月給目安です。出典:労働政策研究・研修機構(JILPT)『データブック国際労働比較』、オーストラリア統計局(ABS)等の公表データを元に推計)
現に、今の外国人労働者にとって、日本は 「入職が比較的簡単だから、まずはここで実務経験を積むための場所」 になりつつあります。 特に、最近アジアの若い人材の間で出稼ぎ先として大人気になっている オーストラリア などは、一般の建設作業員でも月給で約65万円(年収700万〜800万円以上)に達することも珍しくありません。
日本で実力をつけたら、給料がもっといいオーストラリアや欧米などにサクッと転職する、というビジョンを持っている優秀な外国人は非常に多いのです。
これだけの圧倒的な賃金格差がある以上、対策を行わないと、せっかくコストと時間をかけて育てた人材が、他国へステップアップするための 「踏み台」 にされてしまう懸念がございます。
だからこそ、ただ「人手不足だから雇う」という枠組みを超えて、定着させるための「戦略的な昇給設計」と「確かなキャリア支援」が必要不可欠になってまいります。
顧問の先生とタッグを組み、ややこしい実務は丸投げ
では、こうした「長期的な賃金設計」や「外国人従業員の教育プラン」をどう進めるべきか。
まずは、御社の状況を一番よく知っている 「顧問の社労士の先生」 と、将来の昇給プランや賃金テーブルの改定について、しっかりとご相談いただき戦略を立ててください。社長と顧問の先生がガッチリと話し合って方向性を決めることが、最も大切です。
その上で、入管法と労働法が交差する「ややこしい書類作成」や「複雑な申請手続きの実務」は、社労士の知識も持ち合わせている行政書士である私にお任せください。
顧問の先生が立ててくださった経営戦略のレールに沿って、ズレやミスのないよう正確に実務を代行いたします。
面倒でややこしい書類作成や手続きの管理は、すべて私に丸投げしていただけます。
社長は、未来の人材育成と、本業のビジネスを大きくすることにだけ、すべてのエネルギーを注いでいただければ大丈夫です。
顧問の先生と連携し、信頼できる実務パートナーとして、全力で伴走いたします。