AIエージェント

講師と私とAIで壁打ち

1. はじめに:子どもの頃からの違和感と、大人の世界の諦め

私は子どもの頃から、説明の中に論理の飛躍や相手の思い込みが含まれていると、頭の中で筋が通らず素直に理解できない傾向がありました。 子どもの頃は自分で調べたりなんども考えなおしたりして何とか腑に落としていましたが、長年会社員をしている間に、複雑な業務や研修に直面しても「よく分からないけれど、適当に分かったふりをしてやり過ごす」という大人の諦めがいつの間にか身についてしまっていました。

しかし、士業として独立した今、私は分かったふりをやめました。 経験豊富な諸先輩方に追いつき、一日も早くプロになるために、研修から得られる学びを極限まで深めます。

そこで試してみたのが、研修会場にノートPCを持ち込み、講師とAIエージェントとリアルタイムで壁打ちしながら講義を聴くという受講スタイルでした。


2. 100人の沈黙の中で、手元のAIと論理の穴を埋めまくった日

講義を聴きながら、キーワードをどんどん入力していき、疑問があったらAIに投げかけるということを始めてみると、理解できないまま講義が終わるというストレスが消滅しました。

100人以上が参加する静まり返った研修会場では、講師の説明に「あれ?なぜAから急にCという結論になるんだ?」と違和感を覚えても、途中で手を挙げて講義を止めることはまずできません。 しかし、手元のPCからAIに「講師はAだからCと言ったが、間のBに相当する法的根拠や実務の前提条件は何が考えられるか?」と問いを投げれば、AIは瞬時に論理のミッシングリンクを埋めて解説してくれます。誰にも気兼ねすることなく、自分専属の家庭教師に何度でも質問できる感覚です。

さらに驚いたのは、AIとの対話によってベテラン講師の言葉の裏にある言語化されていない部分までうっすらと見えてきたことでした。 ある研修で、大先輩の講師が特定のテーマについてなぜか歯切れ悪く、ふにゃふにゃと曖昧に語る場面がありました。手元のAIに背景構造を分析させたところ、その分野は業界内で特に「既得権益と縄張り意識」が強い領域であることが論理的に浮き彫りになったのです。 「新人が勝手に旨味のある分野に入ってきたら困るから、まずは下積み仕事からやれ」という業界の暗黙の空気が、講師の言葉のところどころに滲み出ていたわけです。テキストを手に、講師をにらみつけながら聞いていても絶対たどりつくことはない領域をAIが見せてくれました。

講義が終わる頃には、講師の言葉を聴き、AIに問い、実務への適用を考え続けたことで、頭を使いすぎてクタクタに疲弊するほど脳がフル回転していました。 手元には明日から実務に使えるメモがぎっしりと残っており、知識が血肉になった確かな手応えがありました。


3. おわりに:AIが先生の頭の中と私の間を通訳してくれる

研修の講師を務める先生方は、その道で長年現場を支えてきた間違いのない第一人者であり、頭の中には膨大な実務の経験と知見が詰まっています。 現場で体得された熟練の技だからこそ、わざわざ細かく論理立てて言葉にする習慣がないというだけで、そこには確かな知恵が存在しています。

一方で私には、明確に言語化されていないと先生の頭の中や意図をうまく共感・理解しづらいという特性があります。 だからこそ、手元のAIが間に入って先生の言葉の背景にある前提や文脈を瞬時に翻訳してくれることで、言葉足らずに見える講義の奥にある本物の知恵を、すんなりと受け取れるようになりました。AIが私と先生の間の最高の通訳になってくれている感覚です。

私の挑戦において、コミュニケーションのスタイルの違いで学びを諦めてしまうのは、あまりにももったいないことです。 これからもAIに通訳をしてもらいながら、諸先輩方が持つ豊かな経験と知恵に正対し、貪欲に自分の血肉に変えていきたいと思っています。

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