認定証明書に挟まっていたFAX――30年前のイメージを覆された日に考えたこと

2026-08-04
封筒を開けて、書類を確認していたときのことです。追完でFAXで送っていた書類が、含まれていました。最初はそれがFAXだと気づきませんでした。
30年前のFAXとは別物だった
私の頭の中にあったFAXのイメージは、30年前のものです。感熱紙に荒いドットで浮き出た文字。くるんと丸まり、いちいちコピーするのが新人の役割でした。「FAXで送りました」と電話で言われた時、「読めるかな……」と身構える、あの感じ。
ところが、手元の書類はよく見ないとFAXだとわからない。印刷物と言われても信じてしまうくらい、きれいな出力でした。メールでPDFを受け取って印刷するより、FAXの方がむしろ早いかもしれない。いや、きっと早い。枯れた技術を磨き続ける執念に、素直に感心しました。
ここで終わると、騙される
ただ、ここで感心して終わると、本質を見誤ります。
FAXが早いと感じたのは、 そもそも申請が「紙」を前提にしている からです。紙で出す以上、紙のまま送れるFAXとの相性が良いのは当然。では紙の代わりにPDFならいいかといえば、PDFは結局 「紙のレイアウトをデジタル上で再現したもの」 に過ぎません。
本当に効率を追求するなら、こちらのAIが作成した構造化データ—を、入管のシステムがそのまま受け取って自動処理すればいい。紙もPDFも要りません。こちらのAIと入管のAIが直接やりとりする。そうなれば、私たち士業は書類の体裁を整える膨大な作業から解放されます。
手続きの複雑さが、本質的な支援の質を下げている
これは夢物語ではなく、切実な問題です。行政が求める様式に情報を落とし込む作業が、日々の業務の大半を奪っています。
しかし、 本当に重要なのは、書類の体裁ではありません。 外国人従業員が安心して働ける労務管理の設計。実習計画の作成と実効性の検証。定着支援の仕組みづくり。——これらこそが、企業と外国人の双方の未来を左右する本質的な仕事です。
ところが現実には、手続きの複雑さに追われるあまり、この 「本当に重要なこと」 が後回しになりがちです。これは、絶対に避けなければならないことです。
紙をきれいに送る技術ではなく、紙を送らなくていい仕組みを
古い技術を改善する日本の執念には敬意を表します。でも、本当に必要なのは、古い前提そのものを問い直すことです。紙をきれいに送る技術を磨くのではなく、紙を送らなくていい仕組みを作ること。手続きに費やしている時間を、本当に人の役に立つ仕事に振り向けること。
その日が来るまで、私は目の前の手続きを一つ一つ丁寧にこなしながらも、本当に重要なこと——労務管理の設計と、企業と外国人の双方が安心できる伴走支援——を、決しておざなりにはしないと心に決めています。