
家系図作成ビジネスの壁。そこから見えた「労働と対価」のシビアな現実
私が開業に向けて取り組もうとしているサービスの一つに家系図作りがあります。自分のルーツを辿り、ご先祖様を形に残す、非常に意義深い素晴らしいサービスだと感じています。
商品ラインナップの候補として、まずは自分自身の家系図作成のプロセスをシミュレーションしてみました。家系図作成のステップは、大きく分けると以下の4つになります。
- 役所で古い戸籍を遡って取得する
- 取得した戸籍を現代語に文字起こし(解読)する
- 読み解いた情報を家系図作成アプリに入力する
- 見栄え良くきれいに調整して、印刷・製本する
一見するとシンプルな工程に見えますが、実際にやってみて驚愕しました。2と3のプロセスが、想像を絶する重労働だったのです。
ご先祖様を遡るとなると、当然ながら明治や大正時代の戸籍を読み解くことになります。当時の戸籍はすべて手書き(くずし字や変体仮名)で書かれており、現代人にとってはまるで暗号です。
一文字ずつ丁寧に解読し、誰が誰の子供でどこから養子に来たのかという複雑な家族関係を現代語に文字起こししていく。そして、それを一つ一つ間違えないようにアプリに入力していく……。
これは途方もない時間と労力がかかる、極めてヘビーなプロセスでした。
ここで、私はビジネスにおける一つの大きな壁にぶち当たりました。この膨大な労働時間に見合う適正価格を設定したら、一体いくらになってしまうのか?という疑問です。適正価格をそのまま転嫁すると高額になりすぎてしまい、お客様が求める相場と合わなくなってしまいます。結論として、現時点では、家系図作成はビジネスとして商品化できないと判断しました。
そして、この効率化や合理化をさらに困難にしているのが、私自身の思い入れです。
動き出した親類データベース
何十時間もかけて文字起こしをし、専用アプリに入力していくうちに、ただのデータだったはずのものが、まるで命を持ち始めたように感じられたのです。
- この枝の先に、人を追加したい
- 写真を追加していくと、たまらなく楽しい。
- 登場人物の生没年をチャートにし、世の中の歴史的ニュースと一緒にマッピングすると、他人事ではない自分事の歴史年表が完成する。
- この人はどんな病気で亡くなったのか、どんな職業だったのか、運動が得意だったのか……。遺伝子の一部を共有している彼らに起こったことは、私にも起こる可能性がある。
商売のネタにするためには、感情を割り切って合理的なプロセスを構築しなければなりません。しかし、私が作り上げた親類データベースは、もっと自分に手を入れてくれと私に語りかけてくるのです。
しばらくは、この声に従ってみようと思います。自分自身の家系図を気の済むまでいじくり回して堪能した先に、きっと商品化への糸口が見えてくるのだと思います。